
研究職の種類とは?研究の種類・勤務先・分野別でみる研究職

研究職の種類にはどんなものがあるかご存知でしょうか。研究の種類や勤務先、あるいは分野別にみると、さまざまな研究職があります。今回は、種類別で研究職を徹底解剖してみました。これから研究職を志す方・研究職への転職をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
研究の種類別で見る研究職
全体的傾向からすると、新卒では特に研究職がやや狭き門とされますが、研究職も幅の広いもので、必ずしも実験と論文執筆をするだけが研究所職ではありません。以下では、周辺業務も含め、様々な研究職を種類別でご紹介します。
研究の種類は「基礎研究」と「応用研究」
研究職は大きく分けると、基礎研究、応用研究に業務が分かれます。
基礎研究は、自然科学的な法則の探求に焦点が当てられています。
これに対して、応用研究では具体的な問題・課題の解決に焦点が当てられている点で両者は異なります。
例えば、動物の細胞の性質を研究するのは基礎研究ですが、動物細胞を用いて必要な部位へ薬剤を届ける、効率的な「ドラッグデリバリー」の仕組みを考えるのは応用研究です。
さらに、医学・薬学の世界には「臨床研究」があります。つまり、病気の治療に応用する方法を考えるのです。応用研究より少し踏み込んだ内容になります。ドラッグデリバリーのケースであれば、実際に疾病治療薬に応用する方法を考えるわけです。
開発職との違い
研究職と開発職は、開発職が実用化を超えて商品の開発を行う、すなわち「稼げるもの」を作ることに向けられた職種である点が異なっています。
実際には、「研究開発職」と呼ばれるように、特に民間企業ではあまり境目つけていないケースも多くみられます。民間企業が営利目的の団体であることから、応用研究も開発を最終的な目的としていると考えられるためです。そのため、民間企業では特に開発職のほうが研究職よりも間口が広い傾向にあります。
研究職の周辺の仕事
研究を行い、論文を執筆し、研究結果を公表することや、実用化・商品化を行うまでの過程には多くの業務があります。
例えば、研究補助職は、研究の一部または全部について、研究員を補助する仕事です。実験の一部工程を専門に扱う専門性の高い補助職もあります。また、研究データの解析・分析を行う専門職である「技能者」の仕事があります。
また、研究の資材の調達・契約管理・研究で使う予算の管理などの仕事は、研究事務と呼ばれます。この事務も、研究の内容についての理解を求められます。
さらに、研究成果を特許化する特許事務の仕事、プロジェクトのコーディネートを専門に行うコーディネータなど、研究職周辺の仕事も多種多様です。周辺の仕事も専門性が高い傾向にあります。
これらの周辺の仕事まで含めて、研究職と呼ぶことがありますし、また、周辺の仕事も専門的知見や経験が求められることもあります。そのため、周辺の仕事から研究職への転身も可能であるなど、キャリアアップも図ることが可能です。
とくに、研究補助や技能者などは、大学や大学院などの教育機関で勉強していること・研究所等での経験があることなど、研究職に準じたものであることが求められることも多いものです。また、特許事務、なかでも弁理士の仕事も同様に、各領域の特許出願に必要なだけの専門性を求められます。研究職の周辺まで視野に入れて、道を究めることを考えるのも一つの手といえるでしょう。
勤務先の種類で見る研究職
研究職を勤務先で分類することもよく見られる分類法です。研究職の勤務先には以下のようなものがあります。
・大学・研究機関
・官公庁
・民間企業・民間の研究所
大学では基礎研究が大半であり、また官公庁も大学に似た傾向があります。これに対して、民間企業は基礎・応用の位置づけが逆転し、実用化に向けた応用研究が基本で、一部基礎研究があります。それぞれの研究職の特色を見てみましょう。
・大学・研究機関
大学や専門の研究機関では、基礎研究を行う研究者が多く活躍しています。学術的な自由度が高く、自身の研究テーマを選ぶことができる一方、研究費の獲得や学生指導なども行うことがあります。ポストが限られることも多いため、研究実績を積むこと・結果を出すことが求められます。就職・転職の難易度は高めといえるでしょう。
・官公庁
官公庁や政府系の研究機関では、社会課題の解決や政策立案に関する研究が行われます。
環境、エネルギー、医療などの分野で、公共の利益に貢献する研究を担当することがあります。
・民間企業・民間の研究所
民間企業や研究所では、新製品の開発や技術革新に関する研究が行われます。
製薬、バイオテクノロジー、情報技術、エネルギーなど多くの分野で、市場競争に貢献するための研究が行われます。
分野別でみる研究職
研究分野には、大別すると理系と文系があり、仕事をする人の数も異なっています。それぞれの研究職や、研究職につくための近道についてご紹介します。
研究職の大半は理系
医薬・化学・工学・バイオ・数理科学・宇宙物理など、理系の研究分野はさまざまです。実際の社会生活の中で、問題解決するべき課題が理系の各分野には多いものです。
そのため、いったん職に就くと、結果を求められる厳しさはあるものの、理系の研究職につくこと自体の難易度が極端に高い、ということばかりではありません。
分野によって、就職・転職の難易度は違うものの、理系の研究職を志す場合、工夫次第で思った通りのキャリアの実現可能性は高くなります。
ところが、文系は大学にいる研究職のほか、民間企業の研究者はシンクタンク等に限られ、少なめでしょう。結果として、理系の研究職が結果として大半を占めています。
文系もいる研究職
研究職というと理系の職業というイメージをお持ちの方もいるでしょう。実際には、大学・研究機関・官公庁・民間企業には文系の研究者もいます。大学の教員を見ると、約4分の1が文系の研究者です。
ただし、民間企業では、研究者として就職する人はシンクタンクなど、限られた民間企業にいる程度です。研究者としての需要が低い状況が続いています。
研究職を目指す近道はある?
研究職に就くためには、理系を学生時代に学んでおくこと、また、周辺職から研究者への転身も含め、研究での経験がものをいうので、経験を積んでおくことが近道といえるでしょう。例えば派遣の研究補助者で専門分野での研究を経験し、その後研究者としての正社員就職を狙うことも可能です。
研究者も、短期プロジェクトでの研究から長期の正社員・正職員、あるいは教員として研究参画まで、さまざまな働き方があり、ライフイベントにも柔軟に対応できる面があります。
研究職には長年をかけて自分の好きな道を追求できるメリットがあります。一時はポストが少ない、といった時期があるかもしれません。
また、勉強してスキルアップする時期・家族のケアに専念する時期があってもさらに長い間追及するに値するキャリアといえるでしょう。柔軟な働き方ができることを生かし、長期的な視野に立ってキャリアプランを立てるのがおすすめです。
まとめ
研究職には、基礎・応用研究があり、研究分野によって就職・転職の難易度は異なっています。応用分野のほうがどちらかというと就職や転職のチャンスは多めであり、人気メーカーの基礎研究職などでは、応募者に比べてかなり狭き門となることもあります。
希望の転職先で働くチャンスを得るには、得意分野での経験を深めることが有効です。さらに、キャリアアップを長期的に考えるには、派遣で働きながら学ぶことも考えられます。多様な働き方を視野に入れながら、キャリアプランを立ててみましょう。
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