
【臨床検査技師の転職】成功させるためのコツやおすすめの転職先

医療機関において、さまざまな臨床検査を行う技術者である「臨床検査技師」。
検査のプロである臨床検査技師が転職する場合には、どんなことに気をつければ上手くいくのでしょうか。
今回は、臨床検査技師の仕事内容や平均年収、臨床検査技師の転職を成功させるためのコツやおすすめの転職先などについて深掘りしていきましょう。
臨床検査技師とは
まずは、臨床検査技師がどういったものなのかを理解するところからはじめます。
ここでは、臨床検査技師について「臨床検査技師って?」「臨床検査技師の仕事内容」「臨床検査技師の平均年収」などを解説していきましょう。
臨床検査技師って?
「臨床検査技師」とは、病院などの医療機関で医師の指示に従い、患者の血液や尿、便などの検査を行う技術者のこと。
臨床検査技師として働くには、「臨床検査技師」の国家資格が必要となります。
臨床検査技師の仕事内容
「臨床検査技師」の仕事は、原則として医師の指示のもと、医療に関するさまざまな検査を行うことです。具体的には、検査の準備・実施・報告・患者対応など、検査に関する業務全般が臨床検査技師の仕事内容です。検査に必要な採血なども臨床検査技師が行うことがあります。
検査は、大別すると「検体検査」と「生体検査(生理機能検査)」の2種類です。
「検体検査」とは、患者の身体から採取した検体(血液、尿、便など)を調べて、患者の身体の異常の有無を確認する検査を指し、「血液検査(貧血や炎症の確認のための検査)」「病理検査(がん細胞の有無の確認のための検査)」「輸血検査(血液型や輸血製剤の検査)」があります。臨床検査技師が検体検査を行う場合には、病院の採血室などに常駐していることが多いのではないでしょうか。
「生体検査」は「生理機能検査」とも呼ばれ、機械装置を使用して患者の身体を直接調べて、患者の生理機能を確認する検査です。MRI検査、脳波検査、心電図検査、呼吸機能検査などが知られています。
臨床検査技師は、検査のプロとして専門的な知見と技術を活かし、患者の健康に関するさまざまな検査を行うことによって、人々の健康を守るという重要な仕事をしているのです。
臨床検査技師の平均年収
臨床検査技師の平均年収に関しては、業界や業種、企業規模、地域、求職者の属性などによって違いがありますが、厚生労働省から公表されている「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば、以下のようなデータとなっています。
【臨床検査技師の平均年収】
平均年収 | 496万4,600円 |
月収 | 33万7,800円 |
賞与 | 91万1,000円 |
平均年齢 | 41.6歳 |
勤続年数 | 12.7年 |
他の職業も含めた日本全国の平均年収が約443万円なので、臨床検査技師の平均年収は一般的には高いほうだと言えるでしょう。
ここ10年の臨床検査技師の平均年収の推移を見ても、微増ではあるもののほぼ右肩上がりに増加していることがわかります。
※参照:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html
臨床検査技師の転職を成功させるためのコツとは
臨床検査技師の転職にはいくつかのコツがあり、転職を成功させるためにはコツを理解して実践することが重要です。
ここでは、臨床検査技師の転職を成功させるためのコツについてご紹介していきます。
臨床検査技師の転職を成功させるためのコツ
臨床検査技師の転職を成功させるためには、以下のようなコツがあります。
- ・転職先を決めつけない
- ・キャリアの棚卸しをしよう
- ・強み弱みを把握しよう
- ・キャリアプランを描こう
- ・情報にキャッチアップしていこう
- ・実績は具体的に伝えよう
- ・自身のスキルや能力を最大限にアピールしよう
- ・転職に成功する職務経歴書を作ろう
コツ①転職先を決めつけない
臨床検査技師の転職先は病院だけだと思っていませんか?転職を成功させるためのコツの1つは、転職先を決めつけないということです。
転職先はここしかないと決めつけてしまうということは、自ら可能性を狭めてしまっているようなもの。臨床検査技師が活躍できる職場は病院だけというわけではなく、数多く存在します。
コツ②キャリアの棚卸しをしよう
転職を成功させるために大切なことは、自分自身をいかに客観的に見つめられるかです。転職市場における現時点での自身の市場価値を把握するためにも、自身を客観的に査定することは必要でしょう。
そのためには、自身のキャリアの棚卸しを行うことが必要です。保有資格、スキルや経験、知識の棚卸しを行います。
キャリアの棚卸しを行うことで、面接の際に自身のスキルや経験を最大限アピールするための準備をすることができます。
コツ③強み弱みを把握しよう
キャリアの棚卸し行い、自身を客観的に見ることの目的としては、自身の強み弱みを把握するということもあります。
転職を成功させるには、客観的な自己分析で得られた自身の強み弱みを転職活動に活かすことが重要です。
具体的には、自身の強みを前面に出してアピールすることや、弱みの部分もポジティブに表現して、自己分析ができていることをアピールすることができます。
また、自身の強みを活かせる転職先を探すことで転職を成功に近づけることもできるでしょう。
コツ④キャリアプランを描こう
転職を成功させるために、転職活動の際の面接などで自身のキャリアプランをアピールすることも必要です。
臨床検査技師として、具体的にどのようなキャリアプランを描いているのかは、自身の将来にとって重要なポイントといえます。
臨床検査技師としてのキャリアビジョンを明確にして、キャリアプランを描いていきましょう。
コツ⑤情報にキャッチアップしていこう
転職を成功させるためには、最新の求人情報をモニタリングして、情報にキャッチアップしてくことが重要です。
求人情報は日々更新されていくもの。転職サイトや転職エージェントを活用するときにも、小まめな求人情報のモニタリングを行い、転職における条件や転職先のバリエーションなどを把握しておきましょう。
「情報を征する者が転職を征する」と言っても過言ではありません。
コツ⑥実績は具体的に伝えよう
転職活動における面接や応募時に提出する職務経歴書などで、これまでの実績を伝える場合には、数値などで具体的に伝えることが大切です。
たとえば、「●年間で検査実績●件(検査の内訳●●検査●件、●●検査●件…)」のように、検査経験に関して件数や内容を具体的に示すことで、スキルや経験をアピールすることができるからです。
コツ⑦自身のスキルや能力を最大限にアピールしよう
臨床検査技師の転職を成功させるためには、履歴書・職務経歴書、面接などで自身のスキルや経験を最大限にアピールすることが大切です。
そのためには、転職活動の準備として検査スキルや経験、知識の棚卸しを行い、自身の強みや弱みも理解した上で、マネジメント経験の有無、コミュニケーション能力、仲間との仕事の進め方などを含めて、特筆すべき部分を転職先の業務に関連づけて伝えることが重要となります。
コツ⑧転職に成功する職務経歴書を作ろう
転職を成功させるためには、採用担当者に「この人と働きたい」「この人は採用すべき」と思われる職務経歴書を作成する必要があります。ここでは、具体的に職務経歴書の作成の仕方のコツをご紹介します。
- 手書きでもパソコンでも作成可(多くてA4サイズ2枚以内)
- 読む側の気持ちに立って作成すること
- ダラダラと長文で記載せず要点を踏まえてわかりやすく読みやすく書くこと
- 検査の内容や件数は具体的に書くこと
- 何を伝えたいのか明確にすること
- 検査以外の業務についてもアピールすべき点はアピールしていくこと
- 志望動機・自己PRに関しては、転職に関する熱意を伝えること(臨床検査技師を志すきっかけとなったエピソードや、前職での経験をどのように活かして、転職先で貢献するかなど)
具体的には以下のような記載例があります。
【成功する職務経歴書の具体例】
●年●月~●年●月 医療法人●● ●●病院にて勤務
施設概要:一般病院 所在地:●●県●●市●● 病床数:●床 従業員数:●人 雇用形態:正社員 業務内容:臨床検査技師として、以下の業務に従事
【検体検査】検査実績延べ●件/●年●月 ■血液検査●件/日 ■一般検査●件/日 ■生化学検査●件/日 【生理機能検査】検査実績延べ●件/●年●月 ■MRI検査●件/日 ■超音波検査●件/日 (うち、腹部超音波検査腹部●件/日、乳腺超音波検査腹部●件/日) ■肺機能検査●件/日 ■呼吸器検査●件/日 ■心電図●件/日
【検査以外の業務】 ■新人教育 ■業務マニュアル作成 ■勉強会の企画・準備・講師 ■患者対応 【経験・スキル等】 ■各種検査スキルや経験(特に超音波検査には自信あり) ■患者への説明能力 ■検査値判読 ■後輩指導の経験 ■効率重視の事前準備能力 ■患者や仕事仲間とのコミュニケーション能力 ■時間配分能力 ■語学力 ■PCを利用した文書作成能力(利用できるソフトは●●、●●など)
【保有資格】 ■ ●年●月 臨床検査技師免許 取得 ■ ●年●月 超音波技師認定証 循環器領域(第●●-●●号) ■ ●年●月 消化器内視鏡技師免許 取得
【志望動機・自己PR】 私が臨床検査技師を志したのは、幼少の頃に自身の父親が体調を崩した際、当初「不定愁訴」で苦しんでいた父を、さまざまな検査をして病気を特定してくれた臨床検査技師の方に憧れを抱いたからです。そのときの臨床検査技師さんがまるで救世主のように思えて「自分もあの人みたいに人の手助けができる仕事に就きたい」と思ったことがきっかけでした。 自身は、現職で数多くの検査をこなして経験を積むことに注力してきました。その中でも確認を怠らず、効率的かつ迅速に処理をしてきました。同僚とのコミュニケーションもしっかりと取り合い、サポートし合い、チームで業務を行う大切さを身につけてまいりました。突発的なトラブル対応にも自信があります。今後は、貴院でも、現職の経験を活かして、患者様に寄り添った臨床検査技師として、貢献させていただければと思います。なお、将来的には管理者として後輩育成にも精進させていただければ幸いです。 |
臨床検査技師のおすすめの転職先とは
臨床検査技師の転職先にはどのようなものがあるのか見ていくことにしましょう。
ここでは、「臨床検査技師の転職先とキャリアビジョン」「病院への転職」「病院以外への転職」などをご紹介します。
臨床検査技師の転職先とキャリアビジョン
臨床検査技師の転職先は「病院」と「病院以外」に大別されます。
また、臨床検査技師のキャリアビジョンとしては、
①臨床検査技師として、1つの勤務場所(病院など)で検査業務中心の一般職員からリーダー、マネージャーと昇級していくキャリアパス
②他の転職先へ臨床検査技師として転職してキャリアを積み重ねていくキャリアパス
③臨床検査技師のスキルや経験を活かして他の職種へのキャリアチェンジ
などが考えられるでしょう。
病院への転職
臨床検査技師の転職先として、やはり一番多いのは「病院」です。臨床検査技師には、医師のように専門分野などはありませんので、比較的間口は広いと考えられます。
したがって、転職先である病院やクリニックの求人数は多くあるでしょう。自身の勤務条件に適した転職先を探すことはもちろんのこと、今後のキャリアプランを考えて転職先を探すことをおすすめします。
病院以外への転職
臨床検査技師経験者の転職先として、「病院以外」を選択することも可能です。
「病院以外」の転職先の事例としては以下のような職場があります。
- ・研究機関
- ・検査機関(検査センター)
- ・保健所
- ・健診センター
- ・一般企業
- ・治験関連機関
以下、順に解説していきます。
≪研究機関≫
大学の研究室や医療機器メーカー、製薬メーカーの研究所など、研究機関で働くことも臨床検査技師の転職先の選択肢の1つでしょう。
≪検査機関(検査センター)≫
検査機関(検査センター)とは、検査設備を持っていない小規模の病院やクリニックなどから発注を受け、検査機関ならではの特殊な検査を行う施設です。臨床検査センターや血液センターなどがあります。
検査センターでは、アレルギー検査や腫瘍マーカーの検査など、病院ではできないような特殊な検査を行うことが特徴です。
≪保健所≫
臨床検査技師の資格を取得して、さらに公務員試験に合格することによって、保健所や国立病院などでも勤務することが可能です。
なお保健所での勤務は、一般的な病院での業務とは業務内容が変わってくることを押さえておきましょう。
たとえば、保健所では「施設の衛生確認」「食中毒発生時の検査」「食品営業施設などの許認可」「調査対象施設への指導」などに関する業務が主な業務内容です。
≪健診センター≫
健診センターや人間ドックなどの施設も臨床検査技師の転職先の1つです。健診センターは、対象者の健康状態の検査(健康診断)に特化した施設ということになります。
≪一般企業≫
臨床検査技師の転職では、医療機器メーカーや製薬会社などの一般企業に転職することも選択肢として考えられます。
一般企業で働く場合には、研究所で働く研究職以外にも、営業サポートなどの業務を担当する一般社員として勤務する選択肢が考えられるでしょう。
≪治験関連機関≫
治験関連機関とは、治験の実施に関して開発・支援業務を行う施設です。臨床検査技師が活躍できる治験関連機関として、CRO(医療品開発業務受託機関)とSMO(治験施設支援機関)が知られています。
さらに、CROで勤務する場合には臨床開発モニター(CRA)として、SMOで勤務する場合には治験コーディネーター(CRC)として従事することになるので覚えておきましょう。これまで病院で勤務してきた臨床検査技師とは業務内容が大きく変わるので、他職種への転職と考えたほうがいいかもしれません。
まとめ
臨床検査技師の転職を成功させるためのコツやポイントをご紹介しました。
臨床検査技師の場合に限らず、転職リテラシーを高め、求人情報にキャッチアップし、転職のコツやポイントを押さえながら、転職先を幅広く柔軟に考え、自身のキャリアビジョンをしっかりと見据えた転職先を探すことが重要になってきます。
自身の将来の可能性を広げる意味でも、臨床検査技師としてのキャリアビジョンを考える上では、自分一人で考えるだけでなく、転職エージェントなどを活用してみることもおすすめです。
臨床検査技師の転職を成功させたいなら、臨床検査技師の転職に強い転職エージェントを活用しましょう。